ドゥニ・ビルヌーブ監督版のデューンは、原作に沿いながらも、描かれない物語の隙間を、世界感を補完するように視覚化していて、それが、とても良かった。原作とは異なるが、人類の未来のために愛を諦めた悲壮感ある結末は悪くなかった。宗教的指導者と狂信者達の危うさは、昨今の現実社会ともリンクしてるだろう。ガーニーとハワトがジェシカを裏切り者と信じ込んでる展開がなかったのはまあ尺の都合かなと思ったが、妹が出てこないのは少しさみしかった。
Perfect Days
平山の世界には「今」と「今度」しかない。過去は寝たらリセットし、未来は全く予定を立てない。ゆえに毎日は常に未知で新しい。でも木漏れ日の影のようなわずかな違いに変化を感じ、歓びを見出すのは、しがらみに囚われて忙しない生活をしている身には無理だろうな。ラストの平山は、都会に生きる他者を想っているのか、それとも忘れてきた自分の過去を想っているのだろうか。
インディ・ジョーンズと運命のダイヤル
息子を亡くし妻と別れ、失意と無気力の中で老後を過ごすインディ・ジョーンズ。そんなインディ・ジョーンズを見たくはなかった。今作はドラマもアクションも真面目すぎる。主役からチョイ役までネジが外れているのがこのシリーズの魅力ではなかったか。極めつけは、クライマックスで疲れ果てた表情で口にする「残りたい」という言葉。大好きなこのシリーズの最終章をいったいどう受け入れたら良いのか。ハリソン・フォードはイキで活力にあふれた冒険家ではなく、深く傷付いたキャラクターを演じたかったのだ。そう考えて気持ちの整理をつけようとしている。