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たゆたう暮らし

自分はとても関心があるけれど、世の中的にはそうでもないような事をここに書き記す。

本の感想「ムーミン谷の冬」トーベ・ヤンソン;一年で最初に春を感じる日

 今日の朝はねずみ色の雲が空一面を覆っており、強い雨風が音をたてて吹き付けています。雲は勢いよく流れていて、雨はもう少しすれば止みそうです。窓を開けると暖かい風が吹き込んできます。

 首都圏に住んでいると、四季によって景色がガラッと変わるようなことはないのだけれど、それでも夏が終わる時のキンとした空気や、今日のようにまだ冬なのに暖かい風の吹く日には季節の移り変わりを感じたり。

 

 春が近づく今ごろの時期になるといつも「ムーミン谷の冬」の最終章「春がきた」のところを読み返したくなります。

 春や夏が社交的で活動的な人たちの季節だとしたら、冬は消極的で、部屋の中で静かに本を読んでいるのが好きな我々のような人間の季節です。

 そして雪に閉ざされたムーミン谷に集まるのも、そんな静かな生活を好む人たちです。スキーを楽しむような人は、冬のムーミン谷では疎まれてしまうのです!

 きっとそういった冬の住民に親近感を感じるから、このお話が好きなのでしょう。

 

 ムーミン谷にも春が来る前に大嵐が吹きます。極夜が終わり、オーロラが消え、凍った海が溶けていく。ムーミン谷の季節の移り変わりはダイナミックです。

 でも最終章には、ダイナミックなだけではなく、雪どけの静謐な感じとか、季節や物事が静かに変化していく時に感じる小さな幸せが描かれていて、胸のどこかがキュッとするような読後の余韻が残ります。

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