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たゆたう暮らし

自分はとても関心があるけれど、世の中的にはそうでもないような事をここに書き記す。

新譜の感想 "Dig In Deep" Bonnie Raitt

音楽

 カントリー、ブルース、ロックン・ロールミュージシャン、そしてオバサンスライドギタリストとして名高い、ボニー・レイットの新作の感想をひとことで言うならば、「泥臭い」(褒め言葉)。

 前作の"Slipstream"はかなり売れただけあって、名盤 "Nick of Time"のようにソウルやブルースといった基本線の中にも、若い人でも好みそうな都会的で洗練された雰囲気が感じられたのだけど、今作に関しては、もー「泥臭い」って感想しかないです。

 オフィシャル・サイトのライナーノーツ*1によれば、アルバムタイトルには近年のツアーで得られた楽曲のインスパイアを「深く掘り下げる」といった意味合いが込められているとのことで、自分の心の中を掘り下げたら、やっぱり泥臭い世界に辿り着いてしまったってことでしょうか。

 

 今回のアルバムもいつも通り、カントリー、ブルース、R&B、R&Rといった楽曲と、メロウなポップス、そしてバラードから構成されていて、昔で言うA面は、ギター、エレピ、ハモンド・オルガンが前面に出た、熱のこもった曲が多めであり、B面は少しレイドバックした雰囲気です。(というか、今時そんな分け方をしていいのだろうか?)

 第一印象でのお気に入りは①②⑤⑥⑪⑫あたり。

 

 ①曲目はコテコテなベースラインとエレピ、ハモンド・オルガン、そして歪み多めのスライド・ギターがフィーチャーされたファンク。

① Unintended Consequence of Lovewww.youtube.com

 ②はオリジナルの雰囲気から遠くかけ離れた、思いっきり泥臭く改変されたINXSのヒット曲のカバー。

Need You Tonight

Need You Tonight

  ⑥はLOS LOBOSのベスト盤で聴いたことがあるロックン・ロール。オッサンギター(彼女のツアーメンバーだから多分おっさんと想像する)とオバサンスライドギターの掛け合いは聴いててとても楽しそう。

 ノリノリな⑥が終わって次の⑦は超しっとりなバラードっていう構成も嫌いじゃないです。

 で、⑩で盛り上がった後、⑪から⑫のラスト二曲は、前作と同じようにバラードからピアノ弾き語りという流れ。"Love Has No Pride"に代表される、彼女のカントリーバラードはどのアルバムでもハズレなしです。

You've Changed My Mind

You've Changed My Mind

 

 今作が前作のように売れるかどうかは分からないけど、ライナーノーツにあるように、今のメンバーとのツアーが絶好調なんだな、ってことが感じ取れる良いアルバムだと思います。

 

 最後に思い出話を少し。もう20年以上も前のこと、ボニー・レイットの来日公演をNHKホールに観に行きました。名盤となった"Nick of Time"で初めて名前を知り、ちょうど次のアルバムの "Luck Of The Draw"が出た頃です。

 細かい記憶は薄れてしまったけれど、それはそれは心のたかぶる、素晴らしいコンサートだったって印象だけは今でも残ってます。

 でもそんなに素晴らしい演奏だったにもかかわらず、客席は最後まで全員着席。そして曲が終わる毎にパチパチ拍手をする程度の大人しさで、こんな静かなオーディエンスに気を悪くしないだろうか、なんて勝手に心配してしまうくらいでした。

 その時の日本の観客の反応のせいで、もう二度と日本に来なくなってしまったのではないだろうか、なんて実はちょっと思ってたりもするのだけど、叶うことならまた来日して欲しいですね。

Dig In Deep

Dig In Deep