たゆたう暮らし

自分はとても関心があるけれど、世の中的にはそうでもないような事をここに書き記す。

生まれて初めて眼鏡を買った

 生まれて始めて眼鏡屋に足を踏み入れた。

 ここ10年ほど、だんだん視力は低下していたのだけれど、日常生活に差し障りがあるほどではなかった。

 仕事の時も、壁に映し出されたパワーポイントなんかはボンヤリとしていたけど、気合と集中と勘でなんとかなっていた。

 また、眼鏡をかけるとどんどん目が悪くなっていくという噂が心配だったので、立体視の本を買ったりして、なんとか視力が回復しないか頑張ってみたりもした。

 

 でもついに限界がきてしまった。視力検査で0.3を切ると、車に乗ることが出来ないのだ。

 仕事は適当にやり過ごすことが出来ても、法律を無視することは出来ない。というかヘタしたら死傷者が出てしまう。

 

 そんなわけで、ついに眼鏡を買う決心をした。

 コンタクトレンズは、目に入れる行為を考えただけで恐怖すぎて、選択肢にも上がらなかった。

 

 普通なにかを買う時は、まずはネットで情報調査するのだけど、なんせ眼鏡についてあまりにも無知なので、「眼鏡 初心者 おすすめ」あたりのキーワードで検索しても、どんなものが自分に合うのか全くイメージが沸かない。

 この段階で数日悩んだ末に、結局お店に行ってみるしかないという結論に達し、ついに生まれて初めて眼鏡屋に足を踏み入れた。

 

 まずは商店街を歩いてて最初に目についた「眼鏡市場」というお店に入ってみた。

 西田敏行のポスターが出迎えてくれたけど、数名いる店員はみなカウンターで接客中のようだった。そこでひとりで展示されている眼鏡を見て周ってみた。

  でも何をどう見ていいかも全く分からず、3分くらいで店を出た。ひとつも眼鏡を手に取ることなく。この店は初心者には敷居が高すぎた。

 

 次に「JINS」というお店に入ってみた。 ここは壁やテーブルの上に所狭しと眼鏡が並んでいて、客がみんな勝手にかけているようだったので、少し敷居が低いような感じがした。

 そこで自分もいくつか眼鏡を手にとって、鏡の前でつけてみた。

 四角いもの、丸いもの、フレームが細いもの、太いもの。

 しかし自分の初めての眼鏡顔を見て、一気に何歳も年をとったような気分になってしまった。

 周囲の人は眼鏡がとても自然でしっくりしているのに、自分の場合はかけた瞬間に貧相な雰囲気が増大するのはなぜだろう。

 そんな感じでしばらく店内をウロウロしていたのだけど、結局店員に声をかける勇気は出ずに店を出た。

 ちょっとした洋服屋などに行くと、鬱陶しいくらい店員が声をかけてくるのに、眼鏡屋というものは客を放置するのがデフォルトなんだろうか。

 

 次は「メガネスーパー」というお店に入ってみた。

 入るなり「ゆっくり御覧下さい」的な感じで声をかけられた。なんという神接客。 

 あんまり客もいないようだったので、眼鏡を買うのが初めてなことを白状して、店内の展示をコーナー毎にひとつひとつ丁寧に説明してもらった。

 「これはセール品」「ここはブランド物」「ここは年配者向け」「これはフレームが特殊」などなど。

 

 でも最後は新人ぽい女子店員の子に眼鏡選びを丸投げしてしまった。

 餅は餅屋なのだ。

 

 最終的には二つに絞られて、当初の予算よりかなり奮発して、レンズも入れて5万円くらいのを選んだ。

 さっきのお店でかけた眼鏡とは違って、今度はあんまり年老いた人には見えなかった。

 デザイン的には銀行員だと不可だけど、職種によっては問題なく使えるレベルだそうだ。

 よく分からないまま保証サービスにも入って、最終的には6万円くらい。

 

 視力検査のようなことをして、数十分かけてレンズを選んだ。

 え。昔はこんなに遠くまで見えてたのかってびっくりするくらい、物が見えるようになった。

 

 初眼鏡という人生の一大イベントを振り返ってみて、まあトータル的に考えていい買い物だった。

 唯一、やっぱり若干おしゃれ眼鏡すぎて、仕事ではかけられないなーと後から思ったけど。