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たゆたう暮らし

自分はとても関心があるけれど、世の中的にはそうでもないような事をここに書き記す。

映画の感想「ぼくのおじさん」あの往年の人気シリーズを思い出すおじさん映画

映画

 「ぼくのおじさん」(2016年公開)

 北杜夫の児童文学が原作の映画です。

 北杜夫って結構子供向けの小説も書いていて、中学生から高校生の頃に図書館で片っ端から借りては読んでました。飄々としてすっとぼけた「ユーモア」のお手本みたいな文章がとても好きだったので。

 監督は「リアリズムの宿」「リンダリンダリンダ」「天然コケッコー」などでお馴染みの山下敦弘

 特に「リンダリンダリンダ」は大好きな映画で、好きな原作者と好きな監督の組み合わせということで、速攻で映画館に行ってきました。

 

 肝心のおじさん役は松田龍平。小説「ぼくのおじさん」の挿絵は和田誠だったのだけど、主人公を本のイメージに寄せる気がサラサラないのが分かります。

ぼくのおじさん (新潮文庫)f:id:mbook999:20161105114635j:plain

 でも観終わってみれば、あえておじさん役にお笑い芸人あたりを持ってきたりせず、あまりにもかっこいい俳優に、人としてダメダメなおじさんを演じさせるってところにこの映画の意味が1つあったのかな、と思います。

 このおじさんのダメさっていうのは、めんどくさがり屋でぐうたらだったり、屁理屈をこねて見栄を張ったり、人並みのことも出来ないのに妙な自信を持っていたりするところ。

 松田龍平に自分を重ねるっていうのもおこがましいけど、親近感を感じてしまうくらいすごくだめな人に見えます。役者ってすごい。

 

 おじさんの外見イメージが本とは真逆なのに対して、お話はセリフの一言一句までたぶんほぼほぼ小説通り。特に前半のエピソードはそのまんま。

 小説は、おじさんの大人げない珍妙な言動に甥っ子の雪男が心の中でツッコミを入れながら進行します。映画もだいたいそんな感じ。

 ただ映画中盤で、原作にはないキャラのエリーさん(真木よう子)が登場してからは完全にオリジナルストーリー。原作ではおじさんがハワイに行くことに大した理由はなかったのだけど、映画ではハワイに住んでいるエリーさんを追いかけて行くことになります。

 

 ハワイに着いてからは、片想いのおじさんがエリーさんの農場で働いたり、エリーさんの元フィアンセが登場したり、そんな感じでお話が進みます。

 ダメな大人だけど憎めないおじさんが片想いする。

 ん、こんな話ってどこかで観たような。

 

 観た人はみんな同じことを思うだろうから、もったいぶってもしょうがないけれど、これって完全に「男はつらいよ」の王道パターンと一緒ですよね。

 この映画をひとことで言えば、現代版「男はつらいよ」ハワイ篇って感じでしょうか。やんちゃ感のない、文系の寅さん。映画ラスト近くで少し切なくなるところも似ています。

 

 映画としてはずいぶんライトな雰囲気で、特に心に残るような名作ではないと思うけど、 時々クスッとしつつリラックスしながら観られるなかなかの好編でした。