blog in a bottle

音楽、本、映画などの私的メモ

街とその不確かな壁

あとがきを読んだ上での感想。この物語は村上春樹にとって3回目の書き直しなのだから、近年のコロナ禍そのものが主題ということは有り得ない。世界の終わりとほぼ同プロットの第一章に、書きたい事はおそらく全て書かれている。思い返せば自分はハードボイルド・ワンダーランドのパートの方が好きだった。停滞を望む自分と前進する影。これは自分の居場所を探し求める物語、と単純に解釈してよいのか分からない。かつて抱いていた「村上春樹は私の事を書いている」という気持ちが、自分の中から無くなってしまったようなので。